標高749メートルの妙法山はゆたかな自然と高山植物の宝庫です。
山主自ら撮った写真を添えて、四季おりおりの表情をご紹介します。
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Autumn leaves
今年は10月の2週続きの台風で楓の葉もかなり痛んでしまいました。この数日の冷え込みでようやく色づき始めた紅葉です。
ダイモンジソウ(大文字草)
京都の大文字に似ているので名づけられたのでしょうか。
熊野の谷川で時々見かけます。
下の花弁が長く、人型にも見えてたくさんの人が集まってワイワイ言っているようにも感じます。
写真左側は淡いピンク、中央と右は白色の花です。
アサマリンドウ(朝熊竜胆)
例年通り火生三昧跡のリンドウのつぼみが色づいてきました。
きれいな瑠璃色ですが、雨が続きお日様が当たることが無いので花が開きません。
じっと太陽が顔を出すのを待っています。
キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈杜鵑草)
名前の通り、紀伊山地に自生するホトトギスの仲間です。
日差しに弱く妙法でもなかなか葉や花がきれいなまま育ってくれません。
コスモス(秋桜)
どこにでも咲いているコスモスですが、やはり秋を感じさせてくれます。原産地はメキシコで、1876年頃にイタリアの芸術家がメキシコから日本に持ち込んだのが最初との説があるそうです。
秋の夜 "Autumn Night"
お彼岸になりようやく秋らしくなってきたので恒例のすすきを活けました。
屏風は四条円山派の岡本豊彦作です。
彼岸花(ヒガンバナ)
別名を曼殊沙華(マンジュシャゲまたはマンジュシャカ、サンスクリット語 ”manjusaka” の音写)とも言います。
赤だけでなく白い花もきれいです。
白式部(シロシキブ)
紫の実をつけるのがムラサキシキブ。
同じ種類でも白い実をつけるのがシロシキブです。ハギに負けないように大きくなりました。
萩(ハギ)の花
山から採ってきた萩の苗が、数年でこんなに大きくなりました。
断食の後(ツマグロヒョウモン)
台風18号が通過した翌日、台風一過の秋晴れのもとシオンの花に蝶々が何匹も留まって蜜を吸っていました。
よほどお腹が空いていたのでしょう。
シオンの蜜を吸うツマグロヒョウモン
ヤマジノホトトギス
この時期ここかしこにひっそりと咲いてくれますが、ほとんどの人が気にも留めません。暑かった夏もやっと終わり、秋の気配が漂ってきました。
イワタバコ
熊野ではイワチシャともいいます。
昔は食材として、お味噌汁に入れたりもしました。
ヒオウギ(夏のなごり)
8月には咲き誇っていたヒオウギも花が終わりヌバタマという黒い実の詰まった袋になっていますが、小さな苗がようやくがんばって小さな小さな花を咲かせています。来年はみんなと一緒に大きな花を咲かせてくれるでしょう。
蝉(セミ)の羽化
“metamorphosis”
アブラゼミの羽化に出会いました。
おみくじを納める杭にすがっています。短い地上の生活が大吉でありますように
擬宝珠(ギボウシ)
自生種のギボウシのほか数種類のギボウシがお山の庭にはあります。
擬宝珠(ギボウシ)
花も可愛いのですが、葉が斑入りだったり緑の色が濃かったり薄かったりと庭の表情を豊かにしてくれています。
檜扇(ヒオウギ)
宮中で使われた檜扇(ヒオウギ)に葉が似ているところから付いた名前ですが、そのせいか那智の火祭りに使われるほか祇園祭や大阪の天神祭りなどでも飾られるそうです。
半夏生(ハンゲショウ)
日陰で涼やかな立ち姿を見せてくれます最初は緑一色の上部の葉も花が咲くころには白くおしろいをしたように変化してきます。
鬼百合(オニユリ)
中国原産のようですが、妙法の境内にはずっと以前から自生しています。これは山門下の石垣から生えた株です。
笹百合 I(ササユリ)
一度は鹿とイノシシの食害で無くなりかけていた野生のササユリが少しずつ増えてくれています。とても良い香りで切り花を一輪廊下に挿しただけで家中が素敵な香りに包まれます。
笹百合 II(ササユリ)
欲張りすぎてたくさんの花をつけたササユリが、折れまいとがんばっています。
ダンスパーティー
色々な種類のアジサイが咲いていますが、中でもこの花はとても艶やかでほんとうにたくさんで輪になって社交ダンスを踊っているようです。
紫陽花(アジサイ)
どこにでもあるアジサイですが生け花のあとの枝を一輪挿して数年でこうなりました。
菩提樹(ボダイジュ)
今年は菩提樹の花がたくさん咲きました。昨年大きくなりすぎた木を選定したので木が危機感をもって子孫を残そうと、がんばって花をたくさんつけたのでしょう。
菩提樹の花(ボダイジュ)
下野 I(シモツケ)
源平咲きのシモツケです。数年前に一株頂いて今はあちらこちらに増えています。
下野 II(シモツケ)
よくシモツケソウと間違えるのですが、葉っぱが違います。ちなみにシモツケは低木でシモツケソウは多年草です。
花菖蒲(ハナショウブ)
杜若(カキツバタ)の花が終わり花菖蒲が咲き始めます。新芽をウサギに食べられながらも頑張って花を咲かせてくれました。
ウツギ
お山に自生するウツギです。別名ウノハナともいって、歌にもなっています。漢字だと「空木」と書くそうです。
石斛(セッコク)
これも妙法山に自生するランの一種で、今は桜の古木をすみかにしています。
ジギタリス/キツネノテブクロ
西洋の花ですが、いつの頃からかお山にも咲いています。猛毒があるようですが、見ているだけなら可愛い花です。
菩提樹のつぼみ(ボダイジュ)
6月末には黄色い小さな花を咲かせます。花芽にはプロペラのような葉がついていて、結実すると風にのってクルクル回って落ちます。少しでも親木より離れたところに根付くための知恵なのでしょうか。
芍薬(シャクヤク)
境内には牡丹がたくさんあったのですが、テッポウムシというカマキリの幼虫にやられてほとんど壊滅状態です。今はテッポウムシのつかない芍薬が目を楽しませてくれます。
芍薬(シャクヤク)
芍薬(シャクヤク)
芍薬(シャクヤク)
屋久島石楠花(ヤクシマシャクナゲ)
屋久島に起源を持つシャクナゲです。
西洋石楠花(セイヨウシャクナゲ)
30年前に10数本の寄進を受けました。
石楠花(ホンシャクナゲ)
妙法に自生していたシャクナゲの古木です。
花菖蒲(ハナショウブ)
近年植栽して境内のあちらこちらでお参りの方の目を楽しませてくれているのですが、今年は野ウサギの食害に遭い、ほとんどのハナショウブが食べられてしまいました。野ウサギの食害を防ぐ手立てがなく困り果てています。
共 生
ギボウシ(擬宝珠)とエビネ(黃海老根)
自生するギボウシの葉の中にでているのは黄エビネの花です。
共 生
エビネ(黃海老根)とヒオウギスイセン(檜扇水仙)
これも黄エビネですがヒオウギスイセンの中から咲いています。
共 生
ギボウシ(擬宝珠)とオダマキ(苧環)
園芸種のキボウシから顔をのぞかせているのはオダマキの花です。
茶の葉
現在生産されているお茶はヤブキタ茶という品種が代表的ですが、これは江戸時代から境内のおちらこちらにあるお茶です。きっと江戸時代には境内で育てた茶葉でお茶を作っていたのでしょう。
茶摘み
妙法山では毎朝仏さまにお供えするお茶をお寺で作ります。
毎年50kgから70kgの茶葉を地元色川茶の生産農家から買い、先ずセイロで蒸して、それをムシロの上で手で揉み天日で乾燥させます。蒸す水が良いからなのか、とても美味しいお茶ができます。
境内の築山
このエリアには妙法山の自生種を中心に山野草を集めています。
エビネ(海老根)
一株から株分けをして少しずつ増えてきています。このラン科の植物は鹿にもウサギにもなぜか食べられないので安心して育っています。
イワチドリ(岩千鳥)
熊野の谷川に自生しています。
山野草ファンに人気の花です。
ナツエビネ(夏海老根)
例年なら開花は6月頃ですが今年は他の黄色いエビネと一緒に咲きました。
阿彌陀寺の境内(5月1日現在)
色とりどりの花が樹々の緑に映えます。
奥に見えるのは、子安地蔵堂です。
鹿の食害
電気の柵で防御しているにもかかわらず今年はずいぶんアジサイやカキツバタの新芽が食い荒らされてしまいました。
がんばって新しい芽が出はじめていますが、今年の花は期待できません。
姫りんご(ヒメリンゴ)
別名イヌリンゴとも。淡いピンクの蕾が可憐な白い花を咲かせます。
牡丹(ボタン)
この時期、阿彌陀寺の境内には数種類の牡丹が咲いていますが、色のない花弁に清楚な趣があります。
マンサク(満作/万作/金縷梅)
東北地方の「まず咲く」が訛ったのが名前の由来とも。手前の赤い花は霧島ツツジです。
キリシマ(霧島躑躅)
花もきれいですが、若葉の緑が目に優しい季節です。
牡丹(ボタン)
霜ふり?が美しい、ちょっと珍しい園芸品種です。
牡丹(ボタン)
ようやく牡丹が咲き始めました。花期は短いですがゴージャスな花です。
しだれ桜(シダレザクラ)
海抜600mの境内は平地より花の時期が遅れますが、今年はさらに遅い開花です。もうすぐ5月だというのにしだれ桜が楽しめます。境内には未だ咲いていない山桜の古木もあるほどです。
奢莪(シャガ)
以前から沢山自生していたのですが、一度鹿の食害に遭い壊滅状態でした。鹿除けの電気柵を設けてからやっと以前のように群生しはじめています。
石楠花(ホンシャクナゲ)
妙法山に自生していますが、この木は種から育てました。ここまで大きくなるのに30年かかりました。
西洋十二単(アジュガ)
江戸期にはすでに日本にあった外来種ですが、いつの頃からか自生しています。在来種のジュウニヒトエによく似ていて、外来種なので「西洋」です。
ツルニチニチソウ
ようやくの春です。例年より2週間は遅い草花の開花ですが、これから百花繚乱の境内になっていきます。
ソメイヨシノ
花散らしの嵐翌日。いつもなら散ってしまうソメイヨシノがまだまだ見頃です。
イノシシ君(その1)
毎晩やってきては同じ芝生の庭を掘り起こしてくれるイノシシ君。
イノシシ君(その2)
二匹のドジョウならぬ、二匹のミミズを狙っているのでしょうか。
梅花黄連(バイカオウレン)
花の直径1cm、茎の長さは5cmほどです。古い切り株の傍で気づく人もなく咲いています。
梅花黄連(バイカオウレン)
花が咲くのは3~5月と言われますが、妙法では立春くらいから咲き始めて今がピークです。
久しぶりに水平線から登る初日の出が拝めました。
今年は何か良いことが起こりそうです。