台風6号

先日の台風6号は、お山にも大きな爪跡を残して行きました。
山門下で200年以上もの間、毎年きれいな花を咲かせお山の歴史を
見守って来てくれた桜がまっぷたつに裂けてしまったのです。
幹の中がすでに空洞になっていて、その苔むした表面には楓や杉、それに様々な高山植物を宿らせていた古木。風速40mを超える風にとうとう耐えられなくなり、その幹を裂きながら隣に立つ老杉にもたれ掛ってしまいました。

 

次の日、危険なので倒された桜は少しでも生かしてあげるために
大事に大事に建築用材として残せるところを切断して行きます。
これからもお堂の一部として、お山を見守ってくれることを願って。

 

倒された桜の切り株には、この木の地上6mの所にヤドリギとして大きくなっていた楓の木が植えられました。今までは大家さんに遠慮して、あまり大きくなれなかったカエデもこれからは桜の切り株から栄養を貰いながらどんどん育っていくでしょう。そして桜の意志を受け継いで秋には真っ赤に紅葉しながら、ずっとお山を見守ってくれるでしょう。

桜の根元に宿っていた擬帽子(ギボウシ)は、桜のお陰で強い風にも当たらず、小さな花を咲かせています。桜に守られた小さな花は、何事も無かったかのようにこれからもここで咲き続けることでしょう。